私が起業するにあたって最初に考えたことは、「顧客が『あったらいいな』と思うサービスを叶えること」です。当時は顧客がいなかったので、全て想像ですが(笑)。
例えば、自分の好きな本があるとします。でも昔は、著者やジャンル、出版社で検索することができなかったので、どこに本があるのかがわかりませんでした。
また、出版社×著者などの情報で横断的に調べる方法もありませんでした。一つひとつ書店を訪ねれば調べてもらえますが、具体的にどこにあるかはわかりません。
さらに、絶版になった本であれば古書店をたくさん巡らないと買えません。そこで、まず「最大レベルの品ぞろえをつくりたい」と考えました。
そのうえで、お客さまにとって買取価格をわかりやすく検索できるようにしたい。
例えば、お客さまが価値が高いと思う本を売りたい時に、チェーンの買取サービス店に持って行くと買取ができなかったり、10円だったりする。でもそれが実はすごい価値がある本なのかもしれない。
ゲームソフトを売りに行って、自分の考えていた金額に満たないとき、それなら売らないとは、店頭まで行っていると、なかなかそういう行動は難しい。
それなら、インターネット上で事前に買取価格がわかるというサービスがあれば良い。これを日本で初めて作りました。
事前に買い取り価格をネットに掲示する。メールでのお問い合わせに返答した場合は、一定期間内に送っていただければ、その値段で買い取るサービス。
当社が通信買取で一番になれたのは、それを最初にやったからだと思います。
お客さまが望むことを想定すること、それをすぐに実行してみて、お客さまの支持が得られなければ変えていくこと。これが当社の理念です。
よく社内で話されることで、「当社はいつでもできたばっかりの会社であり、前例なんて関係ない。必要だったらすぐやる」です。
その結果、現在通販サイトの月間セッション数2,756万人、ページビュー2.2億PV(2024年8月現在)ほどになりました。
他にもいろいろな新しい試みも行っています。例えば現在書店業界はかなり苦しい状況にあります。弊社は日本でトップシェアの書籍卸し会社である日販さまと業務提携を行い、日本中の書店を復活させるというプロジェクトを昨年から始めました。
新刊書店の横に駿河屋をつくる。お客さまがほしいのは必ずしもコミックだけではなくて、一緒にグッズやフィギュア、CDを買うかもしれない。お客さまが買いに来ているのはあくまで自分が好きなコンテンツなので、お客さまの目線に立って陳列を行ったところ、非常にいい結果が出ています。
お客さまが求めているのはコンテンツそのものなんです。今年になって(2023年)からも熊本・愛知・三重・沖縄・新潟と、今まで駿河屋の店舗が無かったところに、どんどん駿河屋が出来、書店様の集客にも大きくプラスになっています。
積極的なDX化・オムニチャネル化も徹底的に進めています。通販商品の、店舗での受け取り、店舗在庫の通販への出品、店舗での通信買取などのサービス。GPS連動で近くの店舗にある在庫だけ表示する機能などを設けるなどして、とにかくお客さまから見て便利にしています。
今後は、全国すべての大都市に駿河屋を出店します。通信買取も広がっていますが、店舗への持ち込み需要もまだまだかなり高く、駿河屋の店舗が増えることで、お客さまの利便性がさらに増していきます。
さらに、台湾から始まり、海外でも駿河屋の展開をスタートします。海外向け通販も現在非常に伸びていますが、今後は海外のサイト、例えば台湾駿河屋を作り、その商品を日本から購入出来る。相互に越境ECが出来る形も構築していきます。